輝星投影器の設計 その1 レンズの選定

 前述したとおり、タマ三郎では2.56等級まで、100個の恒星を輝星として扱い、それぞれ輝星投影器を用いてレンズを通して投影することとしました。そのためには100枚のレンズが必要であり、そのレンズは焦点距離、大きさ、そして何より価格の要求を満たさなければなりません。そのようなレンズの選定を、2011年の7月から8月にかけて行いました。

 輝星投影器の概略を図1に示します。輝星投影器は恒星球に直接取り付けられ、恒星球にあけた穴を抜けた光がレンズを通り、スクリーンに像を結ぶ構造になっています。光量、すなわち星像の明るさが穴の直径で決まるところは、ピンホールで投影するその他の恒星と同じです。さらに、レンズの外に色のついたフィルターを置くことで、恒星の像に目的の色をつけるようにしました。フィルターについては後述します。また、レンズはアルミパイプを介して恒星球と結合しています。このアルミパイプは、光軸を恒星球に垂直に保つとともに、伸縮する機構を持ちピントを調整する役割を担うことが当初の目的でした。

 目的のレンズの焦点距離は、恒星球の半径である250mm程度、また直径は、レンズを乗せるアルミパイプと同じ16mmです。インターネットでレンズを取り扱っていらっしゃる業者さんをいくつか調べて見ましたが、どうやら単価がとても高く、購入は難しそうでした。そこで安価なレンズを求めて、手軽な入手先として100円ショップのおもちゃの双眼鏡をいくつか購入して分解し、凸レンズである対物レンズについて、ひとつずつその焦点距離を測定しました。その結果、焦点距離が250mm程度の適当なレンズが見つかりました。同じ商品のレンズでも、ものによって焦点距離は最大±10mm程度の誤差がありましたが、実験の結果、この誤差は星像にあまり影響しないことが分かったので、このレンズを輝星投影器に採用することにしました。

恒星球の製作 その1 短冊の貼り付けB

 貼り付けが終わりました。

恒星球の製作 その1 短冊の貼り付けA

 貼り付け途中です。

恒星球の製作 その1 短冊の貼り付け@

 2011年9月、恒星の座標の目印をプロットした短冊を印刷し、北の恒星球に貼り付けました。それに先立ち、恒星球には10°刻みで経線の目印を書き込んであります。この経線の書き込み、短冊の貼り付けの誤差が大きければ、以降の作業でこれを取り除くことはできませんから、作業は慎重に、丁寧に行いました。

恒星球の設計 その2 座標変換G

 また、目印と等級、穴の直径の対応を、表1に示します。図5における大きな円は、輝星投影器の目印です。

恒星球の設計 その2 座標変換F

 恒星の目印は、穴を開けるドリルの径ごとに、0.1mm刻みで色と形を変えることで区別できるようにしました。10°ごとの経度で天球を区切り、短冊の上に目印をプロットしたものの一部を図5に示します。

恒星球の設計 その2 座標変換E

 式2で-5°、0°、5°の経線と、10°ごとの緯線を座標変換し、CADで出力したものを図4に示します。この短冊に、同様に式2で座標変換した恒星の座標の目印をプロットし、恒星球に貼り付けます。

恒星球の設計 その2 座標変換D

 2回目の座標変換は多少複雑ですが、上記の分割の仕方、紙の貼り付け方を考慮すると、恒星球面上の点r (R, φ, θ)から短冊状の点r’ (x, y)への変換は、式2で与えられることが導かれます。

恒星球の設計 その2 座標変換C

 直交座標と球座標の間の変換は、式1で与えられます。

 天球上の恒星の座標はヒッパルコス星表として(赤経、赤緯)で与えられますが、Z軸を天の北極に、X軸を赤経0°・赤緯0°に向けて座標系を固定すると、φは経度、θは緯度に対応します(ふつう、θはZ軸からの傾きとして表されますが、ここでは緯度との対応を考えて図3のようにとりました)。これが前述した1回目の座標変換です。

恒星球の設計 その2 座標変換B

 最後に、座標変換を考えます。まず、恒星球面上の点の位置ベクトルは、図3に示すとおり、恒星球の半径Rと、偏角φ、θ(単位はラジアン)を用いて、r (R, φ, θ)と表すことができます。